Recherche

NEWS

松下浩之氏 インタビュー

大阪市音楽団(現オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ)で長年演奏され、現在は大阪音楽大学, 神戸女学院大学音楽学部, 神戸山手女子高等学校音楽科で指導を行う傍ら、幅広い演奏活動で活躍されている松下浩之氏。その経歴や現在の活動、また愛奏するテナーバストロンボーン“AC422 Paris”について、お話を伺いました。(取材:今泉晃一)


エレクトーンで身に付いたハーモニー感が役に立った

  トロンボーンを始めたのは?
松下(敬称略) トロンボーンを始める前、小学1年生からエレクトーンを習っていて、5年生のときには曲をアレンジし、人前でデモ演奏をして謝礼をもらうようになっていました。
 中学校に上がって吹奏楽部に入ったのはたまたまで、クラスの友人が吹奏楽に興味を持ち、トロンボーンを希望したので一緒に入部しました。
 顧問だった先生とは今もお付き合いがあるのですが、「世界中のいろいろなマーチを経験しないといけない」とか「初見ができなければいけない」とか、とてもユニークな先生でした。定期演奏会で、お客さんに楽譜を選んでもらってその場で初見で演奏するなんてこともやっていました。
 その先生は音楽の授業でも、最初に教科書1年分をさっさと終わらせて、あとはあらゆる音楽を鑑賞しました。だから吹奏楽部に限らず、その先生に習った生徒はいまでも楽器を演奏したり、音楽好きの人が多いです。先生は今、尺八でプロ級の活動をしていて、2、3年前には共演もしました。
 トロンボーンの先輩にも恵まれていて、先生に言われて1人がメロディを吹き、他の人が適当にハーモニーと裏旋律を付けて即興でアンサンブルするようなこともやっていました。そんなことが普通にできるパートだったんです。

  高校でも吹奏楽部でトロンボーンを?
松下 高校でも吹奏楽を続けたのですが、周りは熱心な人ばかりで、現在音楽を仕事としている人もたくさんいます。そんなメンバーで金管アンサンブルを組んでコンテストにも出ていました。
 音楽は趣味でやっていこうと思っていたのですが、高校2年生で進路を考えたときに音楽以外にとりえがないことに気づき(笑)、そこからトロンボーンのレッスンを受けて音大を目指すことにしました。
 エレクトーンは大学4年生まで続けており、エレクトーンの先生には音大受験のための勉強も教えていただいていました。「エレクトーンでプロの方向に進む」と決めたら問題なく仕事のできる道を作っていただけたのですが、あえて危険な方(トロンボーン)を選んでしまいました。理由はよくわからないのですが、「直感」でしょうか。
 ただ、エレクトーンをやっていたことは役立つことも多く、例えば昔からコードネームを見ればどんな和音かわかりましたし、ハーモニーを聴けばどういうコードなのかわかります。トロンボーンはハーモニーの楽器なので、自分が吹いているのがどのハーモニーのどの音か即座にわかるのは大きかったです。


ベッケの音も真横で聴くと、相当なスピード感があった

  トロンボーンは、どの先生に習っていたのですか。
松下 高校時代教えていただいたのは、呉信一先生です。大学で指導を受けたのは呉先生の師匠にあたる土橋康宏先生でした。土橋先生は昔の「鉄腕アトム」の主題歌の中間部でソロを吹いていたような方で、まさに日本のトロンボーン界の草分け的存在です。もちろんわからないことがあれば、同時期に大学で指導を始められた呉先生に教えていただくこともできたので、とても恵まれた環境でした。
 しかも、ちょうど海外から頻繁に講師を招いてくださった時期で、1年生のときにはブラニミール・スローカー、2年生のときにはデニス・ウィック、3年生ではミシェル・ベッケの公開レッスンを受けることができました。これも良い経験でした。
 スローカーの音をレッスン時に隣で聴くと、すごく勢いのある音で、ベッケも会場で聴くととても優しい音ですが、真横で聴くと相当なスピード感があるんですね。
なお、大阪市音楽団(現在のオオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ)に入ってからですが、初めて来日したリンドベルイにもプロ奏者のみが受講する公開レッスンを受けたことがあります。なかなかの緊張感だった事を覚えています。

写真左:松下氏のリサイタルプログラムにメッセージを書くM.ベッケ氏と
写真右: B.v.リール氏と。

  高校時代の呉先生や大学時代の土橋先生は、どんな感じのレッスンだったのですか。
松下 呉先生はとにかくプラス思考で、エチュードなど間違わず普通に吹けると「いいよ!完璧だ!」と褒めてくれました。でも「もし君がフェスティバル・ホールで大阪フィルをバックにコンチェルトを吹くのだったら、2階席のお客さんに届かせるためにこうアプローチした方がいいね」というようなアドバイスをよくしてくださいました。
 土橋先生は実戦的なことを細かく教えてくださいました。例えば鋭いアタックで吹くと「そのタンギングの音は音楽に必要な音ではない」とか、指揮者に「もっと抑えて」と言われたときに余裕で吹くためにはどうしたらいいか…など。正直、大学生だった当時はよくわかっていないこともあったのですが、卒業してプロになってから10年、20年と経って「あのとき言われていたのはこのことか!」と気づくことがたくさんあります。

  大阪音大を卒業されてからはどんな活動をされていたのですか。
松下 大阪音大で1年間助手をしながらフリーでやっていました。バブリーな時代だったので、ラウンジでエレクトーンを弾いたり、アレンジしてバンドを指揮したりという仕事など色々ありました。しかしトロンボーン吹きとして「この実力で大丈夫かな」という不安もあり、別の大学でもう一度勉強し直そうかとか、指揮科に入って指揮の勉強をしようかと考えたこともありました。
 そんなときに大阪市音楽団のオーディションがあり、まったく無欲で受けてみたらたまたま通していただいて。それが卒業して2年目のことです。


大阪市音楽団に25年在籍し、編曲も行なう

  市音にはかなり長く在籍されましたよね。
松下 25年所属しました。当時は大阪市の職員でもあったので、9時から17時までフルタイムで仕事をしていました。リハーサルがないときでも出勤して、自分の練習はもちろん、プログラミングをしたり、チラシなどのデザインを考えたり、印刷所とやり取りしたりといった作業もしていたので、メンバーとは家族よりも長く顔を合わせていましたね。今でも定期演奏会などにエキストラで呼んでいただいたりしています。
 様々な思い出がありますが、中でも宮川彬良さん(現・音楽監督)と一緒にやるのはすごく楽しかったですね。お客さまを楽しませることはもちろんですが、演奏者も虜にするような魅力があります。「お客さんには人気があるけれど、楽団員からはあまり人気がない」とか、逆に「楽団員からは歓迎されるけれど、お客さんが入らない」という指揮者もいる中で、どちらからも愛されるというのは素晴らしいと思います。
 それから、アルフレッド・リードさんも温かな人柄が魅力的でした。彼が指揮台に立つと、サウンドが一瞬で変わるんです。もちろん作曲者自らが振るわけですから、スコアの細部まで頭の中に入っているからというのは当然ですが、それに加えて人間性が表れていたように思います。

  編曲もよくされていますよね。
松下 エレクトーンの経験から、、音大ではポピュラー系に進みたいと思っていました。大学のビッグバンドにも入るつもりでしたが、怖い先輩が「吹奏楽研究会に来い」と(笑)。吹奏楽もいろいろなジャンルを演奏するので結果はよかったのです。そもそも音大受験のために習っていたエレクトーンの先生がポピュラー音楽にも精通されていて、受験のためのレッスンのはずなのに、与えられた編成でどうハーモニーを作るかなどを詳しく教えて下さいました。そんなこともあって、これまでもたくさんのアレンジをしてきました。
 市音にいたときには、春の選抜高校野球大会の開会式と閉会式の演奏を担当していたので、優勝校の校歌を毎年演奏していました。どの高校が優勝するのか当日までわからないため複数の校歌の譜面をあらかじめ作っておかなければならず、その全てを任されていました。メロディ譜だけ渡されることも多かったので、いろいろと工夫してアレンジしていました。演奏会では《ポーギーとベス》の編曲をしたこともありますし、岡山県にあったチボリ公園専属バンドのアレンジャーもしていました。

市音当時にレコーディングしたCDはおよそ120枚あり、その中でも松下氏のトロンボーンソロが活躍する3枚のアルバム。
写真左:1つの楽章がまるごとトロンボーンソロという、P.グレイアム作曲/キャッツ・テイルズ よりⅣ“キャットナップ”を収録
写真中央:同じく、グレイアム作曲/地底旅行
写真右:同じ曲のライブ盤

  大阪市音を退団されたあとは、どんなことを?
松下 いろいろなことをしましたよ。ジャズ・トロンボニストの片岡雄三氏と行なったデュオリサイタルでは、例えば僕が演奏するトロンボーン・オリジナル曲のカデンツの後に片岡氏がアドリブソロをするとか、僕がジャズナンバーを演奏したり、その逆パターンで片岡氏がクラシックの難曲を吹いたりなど、様々な試みをしました。
 僕自身、あまり「ジャンル」にこだわりがないんです。ゲーム音楽や映画音楽も、クラシックの要素もあればポピュラーやジャズの要素もあるじゃないですか。だからジャンルがどうのと言っている場合ではないのかなと。「いいものはいい」という感じですね。
 あとは、トロンボーンアンサンブルはもちろん、フルートとトロンボーン、ピアノのトリオ(KOBE TRIO)やオーボエ、ピアノとのトリオ(MAH TRIO)なども行なっています。ヴァイオリンやチェロなどの旋律を置き換えて演奏するのですが、やってみると面白いですよ。

写真左上:金管五重奏を結成する松下氏
写真右上:ジャズ奏者=片岡雄三氏(写真右)とのトロンボーンDUOコンサート
写真左下:オーボエ、ピアノとの珍しい編成の「MAH TRIO」
写真右下:フルートとピアノとのトリオ「KOBE TRIO」


スコアで他のパートの動きを把握しておき、イメージしてから音を出す

  現在、大学や高校などで教えてらっしゃいますね。
松下 大阪音大では個人レッスンと、トロンボーン専攻生全員の専門合奏を教えています。集大成としての演奏会では、新曲や新アレンジを依頼して、僕が指揮もします。神戸女学院大学音楽学部はレッスンだけですが、神戸山手女子高等学校音楽科ではオーケストラの指導、指揮をしています。
 合奏では、音色感やフレーズ感、その曲のニュアンスに合った演奏法を重視しています。音がただ均等に並んでいるだけではなく、音楽の方向性を出すということをよく注意していますね。「ただ縦を合わせるのではなく、聴くべきところを聴いてそれを頼りに吹くことで自然に合う」というような、プロの現場ではどうやっているのかという話もよくします。
 個人のレッスンでも似た感じですね。その曲に合った音色のイメージを大切にすること、合奏やアンサンブルの中での役割、ハーモニーの色彩感やバランスを意識することなどに気を付けるように言います。もちろん、きちんと音が並ばないときにどういう練習をしたらいいかというアドバイスもします。

  では、松下さんがトロンボーンを吹くときに重視していることはどんなことでしょうか。
松下 自分で楽器を吹くときも、必ず「イメージしてから吹く」ということをしています。オーケストラの中で吹くときも当然なのですが、事前にスコアを見ておいて他のパートの動きやハーモニーを把握しておくようにしています。その上で「このイメージで」と音を出す。
 音を出してみてから、実は曲のシーンに合っていないということがあるとマズいですよね。リハーサルの最初のときから、絶対に大丈夫という状況にしておきたいんです。僕くらいの年齢になると、当然のように曲を知り尽くしているだろうと思われるので、必死に下調べをして、「当たり前」という顔をしながら吹くわけです(笑)。

写真左:音楽大学での指導後、プロ奏者として活躍している門下生のとアンサンブルを組む松下氏(前列)
写真右:ザ・シンフォニーホールで中学生の選抜メンバーを指揮される松下氏

  吹奏楽部でトロンボーンを吹いているような若い人たちひとことお願いします。
松下 幅広いジャンルの音楽に興味を持って欲しいと思いますね。コンクールで演奏した曲に関してはものすごく詳しいけれど、それ以外の曲のことを知らない人が多いんです。教えていて「ここは《星条旗よ永遠なれ》みたいな感じで」と言ってもキョトンとしている。
 YouTubeなどで音源はいくらでも探せるのですが、良い演奏を探すセンスを養わないといけない。できれば生の演奏に触れてほしいです。例えばフェルマータで音を伸ばしているときも、音楽は止まっているのではなく、その中に動きがあり、景色が変わって次に行く。でもそういう空気感とか音圧、音楽の動きはスマホでは伝わらないから、真似をして演奏するとただ音を伸ばしているだけになってしまいがちなんです。だからこそ、生演奏を聴いて欲しいです。

  楽器の選び方に関して何かアドバイスはありますか。
松下 例えば「クラシックだから太管」「ジャズだから細管」ではなく、人によって太管が合う人、細管が合う人がいます。僕も市音時代に細管を使っていたことがあります。「細管だと音が細くなる」というイメージがありますが、出る音は逆ということがよくありました。宮川彬良さん指揮の本番で細管の楽器を使っていたら「今日はすごく太い音してるね!」と言われたこともあります。同じメーカーの細管から太管まで並べて、10人のプロの人にブラインドで聴いてもらったこともありますが、むしろ細い管の楽器の方が「太い音」という印象を持ったという経験もあります。だから、あまり決めつけないで、その人に合った楽器を選ぶ方がいいです。
 もちろん低音域の出しやすさとか、強く吹いたときに音色が変化するポイントなど違いはあります。太い楽器で息が足りないとどこまで行っても割れた音にならないですが、割った音もトロンボーンの魅力ですからね。


反応が良く、明るい音色を持ち、レガートがやりやすい楽器

  現在は〈アントワンヌ・クルトワ〉の“CREATION AC422MBOR PARIS”をお使いですが、そもそも〈アントワンヌ・クルトワ〉を使い始めたのは?
松下 出会いは、「コルトワ」と呼ばれていた頃の1985年です。パリ・トロンボーン四重奏団で来日したミシェル・ベッケが、“AC300B”という楽器を吹いていたんです。同じ楽器を楽器店で初めて吹いて、2秒で即決しました(笑)。反応の良さと、イメージ通りの音が出ることに衝撃を受けました。大阪音大の卒業演奏会もこの楽器で出ましたし、市音のオーディションもこの楽器で受けました。いろいろと助けてもらいましたね。
 その“AC300B”は自分の生徒に譲ったのですが、その人は名古屋フィルに入りましたし、別の生徒に一時期貸してもらったところ、その人もプロになっていますので、「この楽器が3人のプロを育てた」と言ってもいいのではないでしょうか。
 〈アントワンヌ・クルトワ〉の楽器は、入れた息に対して「そうじゃない」とか「そこ!」とか言ってくれるんです。ところが本番で、息が上がったり、緊張して練習と違う息を入れたときに、「それは違うね」ではなく「よし、付いて行ってやる」という感じで鳴ってくれる。例え吹き手の調子が良くなくても、楽器が助けてくれるのでそこから120%くらいの演奏ができるんですね。これは吹いた人みんなが言っています。

〈アントワンヌ・クルトワ〉“CREATION AC422 Paris”

  今お使いのCREATION AC422MBOR” PARIS”に関しては?
松下 最初は“AC421”を買うつもりでした。デタッチャブルベルで、あの小さなケースに憧れてね。楽器も決めていざ買おうかというときにこの“AC422”という楽器が日本に入って来たんです。先ほどの“AC300B”と同じく、吹いて2秒で即決でした(笑)。
 “AC422”は、最初に吹いた“300B”のように、人間味あふれる、フランスらしい遊びのある楽器です。それと同時に、F管の付いていないテナートロンボーンの響きに近く感じました。これは、はんだ付けされた支柱が少なくフリーに響いているからだと思います。ロータリーもICONバルブという新開発のもので、ハグマンバルブを軽量化してコンパクトにしたようなイメージで、ロータリーが付いていることによる違和感を感じずに吹くことができます。切り替わりもスムーズで、バロックなどに出てくるターンの音型が非常にスムーズに表現できます。
 また、テナートロンボーンというのは本来テノール歌手のように明るい音がするものですが、現代の楽器はより広い会場で太く響かせることを重視して、高音域がダークになる傾向を持つものが多いんです。しかし〈アントワンヌ・クルトワ〉、特にこの“AC422”という楽器はその明るさを持ち続けているんですね。
 それから何と言ってもレガートがかけやすい。トロンボーン奏者のほとんどがレガートが苦手と感じていると思います。間の音が入ってしまったりしやすいので、そうならないようにデジタル的になってしまうことも多いです。でも、弦楽器や歌のレガートは、ある程度ポルタメントがかかっているんですね。この楽器で吹くと、まさにそういう自然なレガートを表現できます!

  お使いの“AC422”はゴールドブラスのベルでライトウェイトスライドという仕様ですね。
松下 スターリングシルバーのベルがものすごく魅力的で、どちらにするか最後まで悩んだのですが、いろいろなジャンルで使うこと、オーケストラで2ndを吹くことも考えて、ゴールドブラスにしました。シルバーだと横でモニターするよりも前に音が飛ぶので、セクションで吹いたときにバランスを取ったつもりでも録音を聴くとわずかに大きいとか、それを計算して吹くと1stに「もう少し出してほしい」と思われてしまう可能性があるわけです。1番を吹くのなら全然良いと思うのですが。
 今はこの楽器でクラシックからジャズまでほぼジャンルを問わずに演奏しています。〈アントワンヌ・クルトワ〉は柔らかな音のイメージもありますが、すごく反応の良い楽器で、最初にお話ししたミシェル・ベッケのようにハイスピードな音を出すこともできるんです。そういうときでも決して痛い音がしないのが〈アントワンヌ・クルトワ〉の良いところだと思っています。

  最後に、これからやりたいと思っていることはありますか。
松下 僕はラッキーなことに非常に恵まれた環境の中で音楽に取り組むことができたので、偉大な先生方から学んだDNAを後輩たちに伝えていきたいです。
 そのためにも、僕自身これからもできる限り多くの現場で経験とチャレンジを続けられるよう精進いたします。
 幸い生徒たちが育ってくれて、プロになっている人が多いので、生徒たちと組んで演奏会をしてみたいですね。今も「伸縮倶楽部」という音大生からプロによるグループを主宰していますが、その弟分のような感じで、プロだけでなくアマチュアも集めて、一緒に何かやっていく場も作っていけるといいなと思いますね。

  ありがとうございました。

※ 松下浩之氏が使用している楽器の紹介ページは以下をご覧ください。
〈アントワンヌ・クルトワ〉テナーバストロンボーン”CREATION AC422 Paris

Retour en Haut
Your product has been added to the Shopping Cart Go to cart Continue shopping